ロワールの生産者たち
ロワールは銘醸ワイン産地でありながらブルゴーニュやボルドーの影に隠れ、世に知らしめるほどのワインが少なかったのが現状である。
しかしながらニコラ・ジョリーなどを筆頭に「自然派」が台頭しだした最近、別のロワールワインの顔が全面的となり、全ての地域に自然派の波が押し寄せた。
それにより、ロワールは「自然派ワインの産地」としての地位を高め、現在ではポピュラーなワインになろうとしている。
サンセール
アンリ・ブルジョワ Henri Bourgeois
サンセールで最も有名な生産者。プイィ・フュメなどと合わせて65haもの畑を所有するドメーヌ。
サンセールで小樽発酵を初めて行った生産者として有名。ソーヴィニヨン・ブランの名手。通常キュヴェは3000円程度。上級キュヴェは10000円近くする。
輸入元:昭産商事
プイィ・フュメ
ディディエ・ダギュノー Didier Dagueneau
プイィ・フュメ
プイィ・フュメの地域において他の追随を許さないトップドメーヌ。
火打石を意味する「シレックス」を生むことで知られる。そのワインはビオディナミで造られており、自然派が世界的に広まるのに貢献した一人でもある。
現在、フランスのソーヴィニヨン・ブラン種の最高のワインである。父と従兄弟がそれぞれ同地区にドメーヌをもつ。漫画「ソムリエ」にも登場。
市場価格:12,000円前後 正規輸入元:フィネス
シュヴェルニー
クロ・デュ・テュエ・ブフ Clos du Tue-Boeuf
ロワールの若手醸造家の中で最も注目を浴びているジャン=マリー&ティエリーのピュズラ兄弟。シュヴェルニーとトゥーレーヌに畑を持つ。ティエリー・ピュズラの名でネゴシアンも持っており、両面で活躍。市場価格はトゥーレーヌなら1500円程度、シュヴェルニーでも3000円台とお手ごろ。
ヴーヴレ
ドメーヌ・ユエ Domaine Huet
フランスではヴーヴレといえばペティアンである。機械収穫が主体で大量生産のヴーヴレにあって唯一といってよいほどこだわりをみせているのがドメーヌ・ユエ。2006年のクラスマンではロワールで2軒しかない★★★(3つ星)生産者の一人。(もう一人はニコラ・ジョリー)ニコラ・ジョリーが哲学者としたらノエル・パンゲ氏は実践型経験者という感じで、ビオディナミが如何に良いかを理論ではなく、体験を持って行っている。パーカーはヴーヴレ最高の生産者とし、5つ星を与え、世界最高の白ワイン生産者としても評価している。
市場価格は通常キュヴェで3000円前後だが、高いものは20000円を越えるものまで。
正規輸入元:イズミトレーディング
トゥーレーヌ
ラ・プアヌリー Domaine de Puannerie
1870年設立のこのドメーヌは一度フィロキセラによって壊滅的なダメージを受け、多くの畑を失ったが、その後現在の14haほどにまで拡張。
土壌を良く知り、テロワールを忠実に再現した彼らのワインはビオディナミで造られており、今ではトゥーレーヌを代表する生産者となっている。
市場価格:3000円前後
ドメーヌ・デ・ボワ・ルカ Domaine des Bois Lucas
日本人、新井順子女史が当主を務めるドメーヌ。
もともと、コスモ・ジュンという輸入商社を設立し、日本にワインを紹介していたが、現在は自らワインを造るに至る。
現在は重要なビオディナミストとして活躍中。
キュヴェ・クニコはお母さんの名前。市場価格は3000円-5000円。
シノン
クーリー・デュティユ Couley Dutheil
シノン最高の生産者でことに「クロ・デ・レコー」の畑から生み出されるカベルネ・フランにおいて著名な生産者である。
この家は歴史的にも古くからトップの地位に君臨し続け名家で、この最上の全ての条件がそろった畑からは長熟な赤ワインが算出される。市場価格は2500円程度。正規輸入元:アルカン
シャルル・ジョゲ
この村を代表する生産者である、もう一人はこのシャルル・ジョゲ。
ロバート・パーカーをして「シノンに良いイメージがなかったが、このドメーヌのワインを飲んでイメージが一変した」と言わしめたワイン。
市場価格:1500円-3500円。正規輸入元:サントリー?
アンジュ
ラ・フェルム・ド・ラ・サンソニエール La Ferme de la Sansonniere
ロワールのビオディナミを代表する造り手といえば、ニコラ・ジョリーが挙げられるが、その次といえば彼、マーク・アンジェリではないだろうか。甘口好きの彼が選んだ地は「ボンヌゾー」。89年にニコラ・ジョリーとフランソワ・ブーシェにビオディナミを学んだ後は秀逸なワインを造るようになった。ボルドーで学んだときはあまりに人工的すぎて得るものがなかったという。
市場価格はアンジュACクラスで3000円-5000円。ボンヌゾーで8000円程度。
輸入元:ヴァンビオ・カンパニー、ボニリ・ジャパン
ソミュール
ラングロワ・シャトー Langlois-Chateau
1885年に設立された歴史あるドメーヌ。
造り出すワインはソミュールやサンセール、ミュスカデなどを造っているがなんといってもここの素晴らしさはクレマン・ド・ロワールが現している。ボランジェ社が早くから注目し、その傘下に収めている。
私自身も好きなワイン。2000円前後。
正規輸入元:ラック
ソミュール・シャンピニー
クロ・ルジャール Clos Rougeard
シャルリー・フコ氏とナディ・フコ氏の兄弟の造るワイン。ロワールの赤ワインの醸造家の中でトップを挙げろと言われれば必ずその名が挙げられる造り手、フコー兄弟。
彼らもまたビオディナミの実践者(一部の畑)で「カベルネ・フラン」において名声を馳せている。かつてフランがサンテミリオンのブドウと言われていたがその歴史さえ変えつつあるほど。
エコセールが出来る前からビオロジックの生産者としても知られる。市場価格5000円前後。
コトー・デュ・レイヨン
ドメーヌ・トーシェ Touchais
歴史あるコトー・デュ・レイヨンの生産者で、この地区における最上の生産者のひとり。最低でも10年の熟成を経たものしか出荷しない。
コトー・デュ・レイヨンの知名度の低さもあり、古酒であるにも関わらず安価で手に入る。
「神の雫」にも登場。
市場価格:5000円前後 正規輸入元:イズミトレーディング
サヴニエール
ニコラ・ジョリー Nicolas Jory
ドイツの学者であったルドルフ・シュタイナーの提唱である「ビオディナミ」をブドウ造りにおいて実践した生産者で「自然派」といわれる生産者の教祖的存在。以前は大したワインではなかったが、収穫を極限まで遅くすることで凝縮感のあるワインができるようになった。
サヴニエールの地に「クーレ・ド・セラン」というモノポールの畑を所有することでも知られる。
市場価格:6000円前後 正規輸入元:ファインズ(最近)
ミュスカデ
ルイ・メテロー Louis Metaireau
ミュスカデにおける重鎮的な存在。彼の名を有名にしたのはミュスカデの最も優れた畑「グラン・ムートン」。
2003年より新たなプロジェクトとして彼の娘が主体となり、最高のクリマ「グラン・ムートン」から女性が造る女性のためのワインとして生み出されたのが「フェミナン」。女性が造ることにより、よりソフトでフレッシュなワインとなっている。市場価格:1500円くらいから最高キュヴェで4000円程度。
正規輸入元:イズミトレーディング
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